ポジショニング(位置付ける) ~顧客との信頼関係の基礎を構築する~

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1.ポジショニングとは?

例えば、過去にあまり取引がなく、当社に対して認知度の低い顧客と面談する場合は、会社案内などを持参し、事業内容や過去の実績、提供しているサービスについて説明する、という流れがあります。
ここでは、顧客に対して、

・「当社は○○や××に強みを持ち、実績もあるので御社のお役に立てますよ」
・「私と話をするとメリットがありますよ」

ということを伝えようとしています。

ですが、いきなりビジネスの話を始めることはできないので、まずは顧客と共通の話題などを見つけて雰囲気を和ませようとします。
こうすることで、「私はあなたにとって安心できる人間ですよ」と顧客に対して営業担当者自身を位置づけることができます。
このように、会社、今回の商談、自分自身を顧客に対して位置付けることを“ポジショニング”と言います。

2.ポジショニングの定義

では、ポジショニングは、どう定義されるのでしょうか。それは、

顧客に
・自分は何者であるか
・会社、製品、サービスが顧客にどのような恩恵を提供できそうか
                              を認識してもらうことです。

3.ポジショニングの効果

営業担当者がポジショニングをしなかった場合はどうなるのでしょうか。
新規顧客に電話でアポイントを取る場合を例とします。

営業担当者が電話をかけ、いきなり

営業担当者

「○○株式会社の××と申します。
△△のPRにお伺いしたいのですが、お時間よろしいでしょうか」

と話し始めた場合、顧客にとっては
「よく知らない製品を取り扱っている、よく知らない会社の、よく知らない人間から」
の電話となり、顧客は警戒心を高め、会うのは時間のムダだと感じてしまいます。

つまり、アポイント獲得確率の向上には、顧客が

「自分はどういう者で」
「なぜ顧客に電話しているのか」
「顧客の恩恵は何なのか」

を理解することが必要不可欠なのです。

≪ポジショニングの効果(まとめ)≫

・自分がどういう者なのか、また訪問目的を告げることで、顧客に安心感を与える
・顧客が、『この営業担当者なら、さらに先の話を聞いてもいいな』と思える状況を作る
・信頼関係の基礎を作る

自分や当社と関わりを持つことが顧客にとっての恩恵になることを理解してもらい、信頼関係を築くことが重要です。

4.ポジショニングの注意点

①第一印象を大切にする

最初に悪い印象を相手に植えつけてしまうと、優秀な営業担当者でもそのイメージを払拭するために、多くの時間とコストが必要になります。早期の見直しと改善が必要になります。
最初にポジショニング(位置付け)に成功しないと、その商談は失敗に終わったも同然なので、注意しましょう。

②共通項を見つける

出身地、趣味、子供の年齢など、顧客と自分との共通項を見つけましょう。共通項を持つことは、付き合いの浅い顧客の持っている警戒心を解き、商談を円滑に進めるために効果的です。

※ある心理実験で、人は自分と相手とが同じ分類(グループ)に入ることが確認されると、それらの人に対しては好意的に行動することが明らかになっています。

③専門家であることを示す

人は、専門家だと思う相手からのものを買う傾向があります。
専門家とは、専門知識がある・経験豊富である・専門家らしい服装・身なりをしている・・・などの要素を満たしている人のことです。

専任アタッカー(営業担当者)も同様で、相手からその道(物流)の専門家であると見られることは、商談を進める上で重要です。
「医者」からタバコを控えるように言われる場合と、「同僚」からそう言われる場合では、医者から言われる場合の方が反応しやすいのと同様、輸送方法などについては、物流のプロから提案される方が受け入れやすいと考えられます。

④共感の技術:サポート  

「サポート」には顧客との間に共感を生みだし、相手に安心感を与える効果があります。人は、自分の考えや意見に同意してくれる人を探し、そういう人にはよい反応をします。
よって、顧客に良い反応を得るためには、営業担当者が常に顧客の気持ちを察し、「サポート」することが必要です。「サポート」は、会話の潤滑油ともいえる存在です。

≪サポートの(例)≫

・ 有益だと思える発言は認め、それに同意したり、誉めたりする
具体例:おっしゃるとおりですね。
御社のご認識は他社の数段上をいってらっしゃいますね。

・ 相手の気持ちをくんで、言葉で言い表わす
具体例:お気持ち、わかります。ご担当者様からすると、本当に心配ですよね。

・ 否定的な顧客の発言に対しても、顧客がそのように感じていることに対して理解を示す
具体例:確かに単価だけで比較すると、当社の方が高く見えますよね。
トータルコストで考えるといかかでしょうか?

・ 顧客の使う言葉で話す
顧客内、または業界内の固有の言葉がある場合は、その固有の専門用語を用います。
専門用語を共有することで、自分がしっかりと相手の話を聞いていることを示すだけでなく、相手への尊敬も表すことができます。

・ サポートに情報をプラスする
具体例:確かにそうですね。私の知っているお客様でも、○○の問題が発生し、××を導入したのですが、結局3週間もかかったらしいですよ。

≪ポジショニングの注意点≫

・ 第一印象を大切にする(特に初回訪問には気をつける)
・ 共通項を見つける
・ プロであることを示す(専門知識、経験、身なりで)
・ 相手の気持ちをくむ姿勢を強調する =サポートをする

5.ポジショニングの技術~初回訪問~

ビジネスの話を切りだしてもいい雰囲気になったら、3ステップ(①~③)で方向付けをします。
「これから私と仕事の話をすることは、お客様にとってもプラスですよ」ということを顧客自身に理解してもらうことが必要です。

①顧客の状況に適した一般的なニーズに触れる

1.まず、顧客の業界や部門によくある一般的なニーズについて話します。
(例)製造業(設計部門) ⇒設計期間の短縮
   小売業 ⇒商品の回転率向上、来店客数の増加 など

2.さりげなく会話の中に盛り込み、顧客の反応を見ます。
⇒相手に関心があればその話題に乗ってくる
⇒話題に乗ってこない場合はさりげなく別の話題に切りかえる

1と2を繰り返しながら、顧客の関心事を探ります。

②自分や会社が今までいかに他の顧客の役に立ってきたかを説明する   

①で顧客の関心事が明らかになったら、そのことに関する当社の実績を説明します。
こうすることで、顧客に「この営業担当者(会社)なら自分の問題も解決してくれそうだな」と思わせることができます。

ここではあくまでも一般論にとどめ、特定の製品のアピールなどはしない。
⇒顧客の状況を把握できておらず「的はずれな売り込み」になりかねない。

③今日の訪問目的を述べ、話を進める許可を得る    

上記①②を通じて、顧客が商談に対して前向きになっていることが感じられたら、今日の訪問目的を述べ、話を先に進めます。

④3ステップ(①~③)の具体例

営業

最近、半導体関連業界はとても景気がよいですね。
私の担当しているお客様は注文が多すぎて物流部門がパンク寸前だとおっしゃられていましたが。
(ステップ1:一般的なニーズに触れる

顧客

おかげさまで、うちも同じ状況です。納期を間に合わせるのに
四苦八苦していますよ。

営業

お察しします。納期遅れは顧客クレームの一番の要因ですからね。
サポート

顧客

そうなんだよ。社内の後工程からも文句を言われたばかりで…頭が痛いですな。

営業

実は先日、同じお悩みをお持ちのお客様がいらっしゃいました。
詳しくお話を伺い、ご一緒に改善策を検討させて頂いた結果、物流センター業務のアウトソーシングを実現し、納期遅れを大幅に削減できました。
(ステップ2:自分や会社が今までいかに他の顧客の役に立ってきたかを説明する

顧客

ほほう。物流センター業務のアウトソーシングですか。
ピッキング作業にはうちも時間を取られていましてね。

営業

実は、本日私がお邪魔しましたのは、今のピッキング作業の話を含めて、一度お客様からお話を具体的に伺った上で、当社でお役に立てるご提案ができるのではないかと考えたからなのです。
よろしければ、現在物流センターが置かれている状況について、お話をお伺いしたいのですが。
ステップ3:今日の訪問目的を述べ、話を進める許可を得る

顧客

いいですよ。

6.ポジショニングの陥りやすいミス

ポジショニングで大切なのは、

・ 自分は顧客の問題を解決できる人物であり
・ なおかつ顧客の立場で考えられる人間である

と顧客に思ってもらうことです。

この2つの条件のうち、どちらが欠けても信頼関係は深まりません。
 仮に、顧客と歩調を合わせようとせず、強引に話を進めてしまうと、「このセールスマンには丸め込まれないぞ!」と身構えられてしまいます。

7.ポジショニングのまとめ

≪ポジショニングの際に注意する4つのポイント≫

・ 第一印象を大切にする(特に初回訪問には気をつける)
・ 共通項を見つける
・ プロであることを示す(専門知識、経験、身なりで)
・ 相手の気持ちをくむ姿勢を強調する =サポートをする

≪ポジショニング技術(まとめ)≫

・ 世間話をし、サポートを通じて顧客との間に共感を作る
・ ポジショニング話法の活用
   ⇒可能性のある一般的なニーズに触れる
   ⇒いかに顧客の役に立ってきたかを説明する(例を示す)
   ⇒訪問目的を説明し、話を進める許可を得る
・ 理解の確認のために話を要約し、次の話への橋渡しをする

長さ: 10 分

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山本浩二

第一印象を大切にするため身だしなみと礼節に気を付けたい

山本浩二

第一印象を大切にするため身だしなみと礼節を大事にしたい

浅野且久

話し方に気をつけたい。

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話し方に気をつけたい。