⑨トラックの特性を理解した運転

今回は、3)トラックの特性を理解した運転の⑨トラックの特性に合わせた運転について学びましょう。

トラックの特性に合わせた運転

①トラックの車高に合わせた運転

◆車高と車間距離の見え方
トラックは運転席が高いため、ドライバーのアイポイント(視点)も高く、そのため短い車間距離であっても長いように感じやすく、知らず知らずに車間距離をつめてしまう傾向があります。

■「あおり運転」

トラックの苦情として最も多い

◆車高と車間距離の見え方

アイポイントの違い

乗用車・・・地上から1.2m

トラック・・・地上から2.0m

◆直前の乗用車を見落としやすい

ドライバーの視線は直前の乗用車ではなく、その前方のトラックに向いてしまいがちです。
そのため前方のトラックとの間にいる乗用車の存在を忘れて、前方のトラックがスピードを上げると自車もスピードを上げ、その間にいる乗用車に追突するケースがあります。

■乗用車の後で信号待ちのために停止している時、トラックは乗用車越しに信号が見えます。
そのため信号が青に変わってすぐに発進すると、前車が発進していない場合は追突します。

■青信号で発進する時は、必ず前車の動きを確認すること。

◆重心が高いので横転しやすい

■遠心力が働くカーブなどでは横転しやすい

トラックは車両重量が重いため、カーブ走行時では強い遠心力が働き、重心が高いことによって走行が不安定となります。

■遠心力はスピードが速いほど大きくなる

カーブや右左折時は、スピードを十分落とすとともに、ハンドル操作やブレーキ操作を慎重に行いましょう。

■横風による横転に注意

トラックは横風の影響も受けやすく、ハンドルをとられたり横転する危険があります。

■橋の上では風が更に強くなる時がある。強風時に橋を渡る時は慎重に対応すること。

◆トラックの後は、荷台が高い

【前が行けても、後で当たる!】

車高の高いトラックを運転する時は上方にも注意が必要です。特に空車時のボデーは前部よりも後部は高くなっています。直進はもとより左折時のオーバーハングの振りに注意して走行しましょう。

■鉄道の高架橋のガードに衝突すると重大な事態を招く

ガードに衝突し鉄道の運行をストップさせる事態になれば、鉄道を利用する多くの人に迷惑をかけるだけではなく、莫大な損害賠償を求められます。
少しでも危ないと判断した時は決して進入しないこと。

■運転するトラックの車高を正確に知っておく必要がある。

◆運転席からの死角  

トラック乗車時は3m前方にあるボデーと同じ高さはキャブ天井が死角となり運転姿勢の状態では見えません。
発進時や道幅の狭いところは動く前にのぞき込み目視で確認しましょう。

◆看板やひさしも要注意

■狭い道路で対向車とすれ違う時に左側に寄り過ぎると、荷台やサイドミラーが看板やひさし等に衝突することがある。

★看板やひさしの中には高価なものがあります。
また、それらが荷主や重要な顧客先である場合は、会社の信用にも関わります。決して軽く考えないこと!

車長と運転

②トラックの車長に合わせた運転

◆内輪差が大きくなる

■車長の長いトラックは、乗用車よりもホイールベースが長い

左折時などに左側方のバイクや自転車、歩行者等を巻き込む事故が発生しやすくなっています。
また、構内から車道に左折して出る時など塀や門などの建物に接触し破損してしまうことがあります。

■左折して行く時は、内輪差をしっかりと頭に入れて、左側方を確認すること。

■左折時のふくらみに注意

内輪差の大きいトラックは、いったん右側に振ってから左折することがある。

●これは違反行為である

バイクや自転車を巻き込む危険があるので、このような左折はしてはいけません。

◆オーバーハングの振り

■右左折時に接触の危険がある

トラックはオーバーハングの振りが大きいという特徴があります。
そのため右左折時に後続車や対向車と接触することがあります。

■右左折時は、ハンドルを徐々に切ること。

右折の場合は、左側のミラー左折の場合は、右側のミラーに目を配ること。

■右左折時に接触の危険がある

トラックはオーバーハングの振りが大きいという特徴があります。

車幅と運転

③トラックの車幅に合わせた運転

◆狭い道路で対向車とすれ違うとき

■狭い道路で対向車がある時は停止して先に行かせる

【安全な行動】

①左ミラーや安全窓の目視により、歩行者等の確認

②歩行者等の確認後、上方の看板等に注意しながら左側に寄る

③一時停止して対向車を先に行かせる

④後続車がいないことを確認して発進する

■発進時は自転車に注意

対向車に道を譲るため左側に寄って停止すると自転車の進路を妨げてしまうことがあります。
そのような場合、自転車は対向車の通過後に図のようにトラックの右側に出てくることがあります。

■発進する時は後方から来る自転車などを見落とさないように注意すること。

◆カーブを走行するとき

■カーブでは対向車線へのはみ出しに注意

トラックは車幅が広いため、片側1車線の道幅の狭いカーブでは、車体の一部が対向車線にはみ出してしまうことがあります。

■右側のミラーできちんとセンターラインを捉え、はみ出さない運転をすること。

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この章はここまで。小テストに取り組み、次の項目を学びましょう!

長さ: 10 分

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