③飲酒や薬物の影響による危険運転防止の為の留意点

この項目では、 3)飲酒や薬物の影響による危険運転防止の為の留意点について学びましょう。

1.飲酒運転に対する罰則

◆飲酒運転は犯罪

飲酒運転は注意力や判断力の低下をもたらし、見落としや見誤りが増えるだけでなく、運転操作の正確さも失われます。また、危険に対する感覚が麻痺して無謀な運転となり、死亡事故などの重大事故につながる極めて悪質な犯罪行為です。

◆飲酒運転の厳しい処分

事故を起こさなくても、酒酔い運転の場合は、「5年以下の懲役又は、100万円以下の罰金」となります。
違反点数も35点で、免許取り消し処分となり、最低でも3年間は免許が取得できません。
また、酒気帯び運転の場合は、「3年以下に懲役又は、50万円以下の罰金」となります。違反点数は、体内に保有するアルコール量によって25点と13点に分かれ、免許取り消しか免許停止処分となります。

◆人身事故を起こせば厳罰に

飲酒運転による人身事故を起こすと、一層重い処分を受けます。特に自動車の運転により人を死傷させる行為の処罰に関する法律(処罰法)の「危険運転致傷罪」が適用されると、極めて重い懲役を受けます。
処罰法に適用されない場合でも、「過失運転致死傷罪」に問われて、7年以下の懲役又は、100万円以下の罰金となります。そして、解雇、失業による生活崩壊を招くことになります。
飲酒運転による死傷事故後に、さらに飲酒をしたり、その場を離れて酔いをさます等の飲酒をごまかす行為をすると、「過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱罪」が適用され、12年以下の懲役となります。

◆飲酒運転に対する会社への処分

飲酒運転に対する厳しい処分はドライバーだけでなく会社にも及びます。
ドライバーが飲酒運転をした場合は、事故を起こさなくても違反営業所は車両停止処分(初違反は、100日間、再違反の場合は200日間)となります。飲酒運転を命じていたり容認していたりした場合は、事業停止処分となります。

◆二日酔いでも酒気があれば「酒気帯び運転」となる

ドライバーの中には、二日酔いなら飲酒運転にはならないと考えている人がいますが、二日酔いで基準値以上の酒気を帯びて運転すれば違反行為として処分されます。

2.飲酒運転防止の為の留意

◆乗務前日の飲酒はできるだけ控える

体内に入ったアルコールはすぐには消えません。一般的に体重60㎏の人が500mlの缶ビールを飲んだ場合、アルコールが消えるまでには3~4時間かかると言われています。
3本飲むと8時間経過してもアルコールは消えません。又、アルコールが消えるまでの時間については個人差、年齢、体質、その時の体調や飲酒量に大きく左右されます。
乗務前日の飲酒はできるだけ控えましょう。

◆休憩時や仮眠前の飲酒は厳禁

仮眠前は寝付きをよくする為に酒を飲むドライバーもみられますが、仮眠前の飲酒は、酒気帯び運転の大きな原因となるだけでなく、アルコール依存症につながる危険があります。
少量でも仮眠前には飲まない習慣が必要です。
また、フェリー乗船中も酒気帯びにつながるので厳禁です。

◆酒気を帯びている時は必ず申し出る

ドライバーは、酒気を帯びた状態にある時は、点呼時には必ずそれを申し出なければなりません。

◆アルコール検知器により酒気の有無のチェックをする

乗務開始前と乗務終了後の点呼の時、営業所に備え付けられているアルコール検知器を用いて酒気の有無についてチェックしなければなりません。営業所以外の場所で対面点呼できない場合は、自動車に備え付けられている検知器か検知器を携行し酒気の有無を確認して電話で報告しなければなりません。

◆酒気が確認された時は絶対に乗務しない

アルコール検知器によるチェックで酒気がわずかでも確認された場合は乗務してはなりません。
運行管理者の指示を仰ぎ、これくらいなら大丈夫だと独断で乗務してはいけません。

3.覚せい剤等の使用禁止の徹底

◆道交法上の「薬物」

道交法上の薬物とは、「過労、病気、薬物の影響その他の理由により、正常な運転ができないおそれがある状態で車両を運転してはならない」と定められています。
この場合「薬物」とは、眠気を誘発する成分の入った風邪薬に限らず、麻薬、覚せい剤、危険ドラッグ、シンナーなど、服用したり吸引したりして正常な運転ができないような状態をもたらすものをいいます。

◆「危険ドラッグ」

「危険ドラッグ」とは、規制の有無を問わず、使用することが危ない物質のことをいいます。危険ドラッグには麻薬や覚せい剤と似た作用を持つ成分が含まれており、使用すると興奮して狂暴になったり、幻覚症状などの健康被害をもたらし、最悪の場合は死に至ることもあります。

◆依存症が生じ常習化する

危険ドラッグは、快感や幻覚を生じさせ、一度使うと繰り返し使いたくなる常習性があり、自分の意思ではコントロールできなくなります。
薬物は非常に毒性が強いので、「1回くらい使っても大丈夫だろう」と甘い考えで使用すると、1回で深刻な症状に陥り、取り返しのつかない事態になってしまいます。

◆重大事故をもたらす

麻薬、覚せい剤、危険ドラッグの薬物を使用して運転すると、走行中に意識を失ったり、けいれん、呼吸困難を引き起こし重大事故につながります。

◆薬物使用運転に対する厳しい罰則

処罰法

道路交通法

◆人身事故を起こせば「危険運転致死傷罪」で懲役刑

危険ドラッグなどの薬物を使用し、人身事故を起こせば、死亡事故の場合「1年以上20年以下の懲役」、負傷事故の場合は、「15年以下の懲役」などの処罰を受けます。
事故を起こさない場合でも、麻薬、覚せい剤、大麻、あへん等を服用して運転していた場合は、「5年以下の懲役又は、100万円以下の罰金」、それ以外の薬物は「3年以下の懲役又は、50万円以下の罰金」となります。

◆薬物使用を防止するために必要なこと

危険ドラッグはインターネットで「合法ハーブ」と称して販売されており、興味半分で購入するケースも少なくありません。
いったんこのような危険ドラッグに手を出すと常習化してしまい、自分の意思ではやめられなくなります。薬物には絶対に手を出さないこと、みんなで使用防止に努めましょう。

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3)飲酒や薬物の影響による危険運転防止の為の留意点は、終了です。

それでは、次の項目「4)ヒューマンエラーを防ぐために」を学びましょう!

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