③過積載の防止
この項目では、3)過積載の防止について学びましょう。
3)過積載の防止
①積載量の制限
◆積載のルール
過積載を防止する為には、運行する車両の最大積載量を把握しておかなければなりません。最大積載量は車検証にも記載されていますが、車体後部にも記載されています。この最大積載量は、車両全体の重量から車両自体の重量と乗車定員(一人当たり55kg)を加えた重量を差し引いて算出され、100kg単位にその数字が決められています。
◆道路運送車両法の保安基準
トラックにおいては、最遠軸距が7m以上であれば、車両総重量は25トンまで緩和されている。
車両総重量の法的規定は、道路運送車両法(自動車・原付・軽車両の道路運送車両の登録・保安基準・点検・整備・車検について定めた法律)の保安基準によって細かく定められています。トラックにおいては、最遠軸距(多軸車両の場合、最前部の車軸中心から最後部の車軸中心までの水平距離)が7m以上であれば、車両総重量は25トンまで緩和されています。
◆道路法の車両制限令
道路の構造を守るための道路法の車両制限令では、幅・長さ・高さ・車両総重量の最高限度、一般制限値が定められています。
この限度を1つでも超える車両は特殊車両として通行許可が必要となります。
◆軸重・輪荷重についての制限
道路運送車両法や道路法では、車両の最大積載量だけでなく、軸重や車輪自体などにかかる荷重についても規定されています。
最大積載量より軽い貨物でも、荷台の前や後に偏って積載すると、一つの軸に集中して荷重がかかり制限値を超えてしまう場合があり、偏積載となって軸重違反とならないよう注意しましょう。
②過積載防止のためにドライバーに求められること
◆ドライバーの意識改革
ドライバーの皆さんに聞くと、過去に過積載による運転経験を持っている人も居ます。荷主の要請なので仕方ない、過積載をしないと給料に影響するなどの理由からやむを得ず過積載運転を行っているドライバーも多いようです。
◆過積載をはっきり断る
過積載は、交通事故の原因や違反を問われるなど、ドライバー自身が大きな代償を被ります。
明らかに過積載だと判断できる場合は、はっきりとノーと言うことが大切です。
万一、お客様とトラブルになった場合は、直ちに運行管理者に報告して指示を仰ぐようにしましょう。
③過積載に対する荷主などへの禁止事項
◆事業者に求められる姿勢
①事業者の意識革命
②過積載の受発注をしない
③ドライバーへの指導監督
④荷主との協力体制の構築
運送事業者は、お客様との力関係においてやむを得ず引き受けてしまう事業者が見受けられます。過積載運転は悪質な違法行為であるとともに、輸送の安全を脅かし、平等な競争を阻害するものです。
荷主は過積載となる運送を要請したり発注しないこと、また事業者は、過積載となる運転の引き受けや運行計画を制作しないこと。過積載防止するため事業者はドライバーに対し指導監督する必要があります。
さらに事業者が荷主に対して重量証明を得る、運送契約の中に重量を明示するなどの協力を仰ぐことが必要です。
◆過積載に対する荷主などへの措置
■道路交通法の規定
荷主に対し警察署長から過積載の再発防止命令が出され、これに違反すると6ヵ月以下の懲役又は、10万円以下の罰金
トラック運送事業者が、過積載に関する法令を遵守し、安全で安心な輸送を提供するためには、荷主が無理な発注条件をすることがないように協力を得ることが不可欠になります。荷主がトラック運送事業者に過積載をさせたことが判明した場合は、荷主の責任についても、厳しく追及されます。
道路交通法の規定では、反復して過積載の要求をする恐れがあると認められるときは、荷主に対し警察署長から過積載の再発防止命令が出され、これに違反すると6ヵ月以下の懲役又は10万円以下の罰金が科せられることになります。
■貨物自動車運送事業法の規定に基づき国土交通大臣は、荷主に対して過積載の再発防止の措置をとるように勧告する
貨物自動車運送事業法の規定では、国土交通大臣は、貨物自動車運送事業法第64条に規定に基づき、荷主に対して過積載の再発防止の措置を執るように協力要請、警告書、荷主勧告を行います。
◆荷主勧告制度とは
■国土交通大臣が該当荷主に対して違反行為の再発防止のための適当な措置を執るべきことを勧告するもの
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「 5.過積載の危険性」は終了です。それでは、次の項目を学びましょう!