②車種区分とエンジンの種類
今回は、1)トラックの構造の②車種区分とエンジンの種類について学びましょう。
Ⅰ車種区分
◆道路運送車両法と道路交通法の違いによる自動車の区分
道路運送車両法
道路運送車両法は国土交通省が所管する法律です。
道路運送車両法には、大型や中型、準中型の区分はなく、ほとんど「普通自動車」に分類されます。
したがって、道路運送車両法で「普通自動車」の表記が出てきた場合、事業用トラックの大半は、ここに含まれることを理解しておきましょう。
道路交通法
道路交通法は警察庁が所管する法律です。
道路交通法では8つに区分され、道路運送車両法より多くなっています。
◆道路運送車両法によるトラック等に関する自動車の区分
◆道路交通法によるトラック等に関する自動車の区分
◆高速自動車国道におけるトラックの通行料金区分
◆ナンバープレートによる分類
ナンバープレートは、車両の種類に応じた分類がなされています。
「プレートの大きさ」「プレートと文字の色」「車種番号」、用途を示す」「ひらがな」や、登録地を示す地名などが期されています。
また、事業用トラックのナンバープレートは緑色に白い文字、自家用トラックのナンバープレートは白地に緑色の文字です。事業用トラックは緑ナンバー、自家用トラックは白ナンバーと呼ばれます。
Ⅱガソリンエンジンとディーゼルエンジン
■ガソリンエンジンは、一般的にシリンダー内で混合ガスを体積比(圧縮比)7~10分の1程度に圧縮して電気火花で点火・爆発させて動力を取り出す。
■ディーゼルエンジンは、空気を16~20分の1程度に圧縮し、高温になったその中へ軽油を霧状に吹いて爆発させて動力を取り出す。
ディーゼルエンジンの特徴
◆ガソリンエンジンには排気ブレーキはない
ガソリンエンジンはアクセルをオフにすると、スロットルが閉じて、吸入空気量が絞られます。
ディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりエンジンブレーキが弱いため、不足している力を排気ブレーキで埋め合わせています。
ディーゼルエンジンの仕組み
◆爆発図
ディーゼルエンジンの燃焼は、ガソリンエンジンのようにスパークプラグの点火装置がありません。
空気を圧縮し熱を出し、軽油を霧状に吹いて爆発させ、燃料の燃焼によって生じる熱エネルギーを自動車の動力として取り出しています。
ディーゼルエンジンの特徴
◆熱効率(熱エネルギーがどれだけ自動車の動力に使われたか示す値)が高い
ディーゼルエンジンの熱効率は30~34%、ガソリンエンジンは24~28%です。
◆耐久性に優れる
ディーゼルエンジンは大きなエネルギーにも耐えれるよう丈夫に作られています。
◆ブレーキ性能に優れる
排気ブレーキ:排気を強制的にできないようにしシリンダ内の圧力を上げ、ピストンの動きを抑制してエンジンの回転を弱め、ブレーキとして利用します。
※排気ブレーキの制動力は、エンジンブレーキのおよそ1.8倍
◆発進や登坂能力に優れる
ガソリンエンジンと比較して、トルク性能(回転力の粘り強さ)に優れ、容易に発進したり上り坂を登ったりすることができます。
Ⅲ天然ガス車
◆天然ガス
天然ガスとは、メタンを主成分とする可燃性のガスで、これを燃料とするのが天然ガス車です。
天然ガスは、地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO₂)が石油よりも少なく、大気汚染物資である窒素酸化物(NOx)、粒子物質(PM)も少ないエネルギーです。
また、天然ガスは空気よりも軽いため上方に拡散します。よって、ガソリンや軽油のように地上に滞留しません。一酸化炭素(CO)などの毒害物質も含まれていないため、ガス中毒の心配もありません。
さらに、自然発火温度も高いことから他の燃料に比べて安全性が高いとされています。現在普及している天然ガストラックの大半は、最高圧力約200気圧に圧縮した天然ガスを燃料とした圧縮天然ガス車です。
タクシーに使用されているLPガスは、液化石油ガスであり、天然ガスとは異なるものです。
Ⅳハイブリッド・電気自動車
◆ハイブリッド車:「混ぜ合わせる」「かけ合わせる」の意味
ハイブリッドとは、「混ぜ合わせる」、「かけ合わせる」などの意味で、軽油やガソリンで動くエンジンと、電力で動くモーターの2つの動力源を持つ車を「ハイブリッド車」と言います。エンジン効率の悪い発進時などはモーターとエンジンを併用し、通常走行時はエンジンを使用、減速時は、モーターを発電機として使用し、それにより蓄えられた電力を使ってモーターを駆動することで、その分燃費が抑えられるとともに排出ガスも減少させることができ、環境保全にもつながります。運転条件に応じて効率の良い走行ができる点に大きな特徴があります。
◆電気自動車(EV)
充電池の電気をエネルギーとしてモーターで走行する車
電気自動車(EV)は、充電地の電気をエネルギーとしてモーターで走行する車です。
充電地の容量による走行距離の限界などをクリアするために、水素エネルギーを利用する「燃料電池自動車」も開発されています。電気自動車は、電気だけで走行するので、二酸化炭素(CO₂)や窒素酸化物(Nox)の排出がゼロであり、燃料費も電気代のみであり、軽油などに比べてかなり安価であることなどのメリットがあります。
その反面、航続走行距離が短いことや充電方法(充電スタンド不足)に課題があります。そのため軽トラックや小型トラックで使用されています。
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②車種区分とエンジンの種類については、以上になります。
それでは、次の項目を学んでいきましょう!