②許可運送における経路選択

この項目では、 2)許可運送における経路選択について学びましょう。

2) 許可運送における経路選択

①許可運送について

重量や大きさが一般的な制限を超えて運ぶことが公共性に有益であると認められる場合に限っては、国や都道府県市町村の道路管理者に申請し許可(認定)を受けて運ぶことができます。
道路管理者は申請内容が道路や橋などに影響がなく安全に通行できると判断した場合、申請者に許可証(認定書)を発行されます。この一連の流れを「特殊車両通行許可制度」といいます。

◆貨物自動車が公道を走行する際に遵守すべき法令

貨物自動車が公道を走行する際に遵守すべき法令として、道路運送車両法、道路法、道路交通法3つがあります。

◆所管と目的

道路運送車両法、道路法、道路交通法は、それぞれ所管と目的が異なり、法令ごとに規定する車両の大きさ(寸法)及び重量が規制されています。

◆道路法の車両制限令に定める車両の最高限度

貨物を積載した状態で、制限値を1つでも超える場合は、特車通行許可が必要になります。しかし、車両には分割できない構造のものもあるため、重量・寸法が一般制限値をいずれか超えてしまうことがあります。
20トン超の単車など新規格車(総重20トン超25トン以内)も積載量によって重量の制限を超えることがあります。道路は、一般交通の用に供する道であり、ルールに従って通行する必要があります。

◆新規格車

新規格車は、総重量以外の制限値は、一般的制限値と同じになります。  
新規格車は、高速自動車国道および重さ指定道路を自由に 通行することができますが、その他の道路を通行する場合は、 特殊な車両として取り扱われ、特殊車両通行許可が必要となります。

ただし、空車の場合は特殊車両に該当しませんが、幅員の 狭い道路を通行する場合等、「通行認定」 が必要となる場合があります。

◆特殊車両(積載する貨物が特殊)

車両に積載する貨物が特殊であることは、積載貨物が分割できないためにやむを得ず、一般制限値のいずれかを超える車両です。
特殊車両とは、幅、長さ、高さおよび総重量のいずれかの一般 的制限値を超えたり、橋、高架の道路、トンネル等で総重量、 高さのいずれかの制限値を超える車両です。

②許可運送を安全に運行するための留意点

◆特殊車両通行時の遵守事項

特殊車両による運行は、規定法令の制限を超えた積載物を運送する為、特殊な運行となります。
先ず、許可証を携行すること、指定条件を遵守すること、道路状況の事前確認をすることが必要です。
規定法令の制限を超えた積載物の運送の為、通行許可証の携行、指定条件の遵守、道路状況の事前確認をすること。

◆重さ指定道路

高速自動車国道や重さに関して道路管理者が指定した道路(重さ指定道路)においては、車両総重量が20トンを超える(最大25トン)車両が自由に走行できるようになっています。重さ指定道路以外では、20トンを超える新規格車特殊通行許可が必要となります。

◆高さ指定道路

物量の効率化を目的に、道路法(車両制限令)に定める車両の高さ最高限度について、道路管理者が道路の構造の保全及び交通の危険の防止上支障がないと認めて指定した道路(高さ指定道路)を通行する車両にあっては4.1m以下に引き上げられています。その他の道路を通行する車両にあっては、3.8m以下です。

◆荒天を想定した運行

夏季は台風、冬期は積雪と荒天も想定されますので、テレビ、ラジオ、インターネットで気象予報を確認しておくことも重要です。宿泊を伴う長距離運行の場合は、その運行経路上と運行期間中の確認も必要です。行きは晴天だったのでチェーンを携行せずに出発したところ、帰りは大雪となり帰るに帰れなくなったということも十分あり得ます。その他、交通事故の未然防止の観点から、事故が発生しやすい交差点、ヒヤリハットの多い場所についても事前に、運行管理者から確認し、その場所を走行する際には、十分に注意して走行しましょう。

◆罰則

許可なく又は許可条件に反して特殊な車両を通行させた者、又は道路管理者の命令に違反した者などに対しては、罰則が定められています。ドライバーばかりではなく、事業主体である法人又は事業主も同じように科されます。道路法第107条、法人の代表又は、法人若しくは、人の代理人、使用人その他従業者が、違反行為をした時は、行為者を罰するほか、その法人又は事業主に対しても同様の罰金を科せられます。

YouTube動画版はこちら↓

今回はここまで。小テストに取り組んでください。

次は、 8.危険の予測及び回避並びに緊急時における対応方法 について学びましょう!

長さ: 10 分

戻る: 初任ドライバー安全教育 > 7.適切な運行経路及び当該経路における道路及び交通の状況