②トラックの積込みと荷崩れ防止

この項目では、2)トラックへの積込みと荷崩れ防止について学びましょう。

2)トラックへの積込みと荷崩れ防止

①荷崩れはなぜ起きるのか

貨物はトラックが止まって安定した状態で積み付けられます。しかし、トラックがいったん走り出すと、貨物は絶えず振動や衝撃など外的な力を受け続けることになります。発進時は、後ろ向きに、道路工事中の段差や橋の継ぎ目などでは、上下の方向に、ブレーキを踏んで停止する時は前向きに力を受けることになります。
走行中にどれくらいの力が貨物に加わっているのか計算することは可能ですが、いつ・どこで・どのように・どれくらいの力が発生するのか予測することはできません。したがって、貨物の荷崩れを防止する為には、輸送中に発生する最も大きな力を想定し防止策を考える必要があるのです。

②荷崩れを防ぐためには

●貨物の積み付け

●貨物の固縛

●運転方法(組み合わせて実行)

走行中の荷崩れを防ぐためには、貨物の積み付け貨物の固縛運転方法の3つを組み合わせて実行しなければ効果がありません。輸送中、貨物は常に振動や衝撃が発生しています。積み付けをきちんとしただけでは荷崩れを防止することはできません。
一方、ロープやシートでどれだけしっかりと固縛や固定を行ったとしても、積み付けが悪いと本来の効果を期待することはできません。運転方法も急発進や急ブレーキなど急のつく運転は、荷崩れなどの貨物事故を誘発する原因になります。
これら3つの要素を十分に理解し、実践しなければ荷崩れによる貨物事故発生を防止することはできません。

③荷崩れしにくい積み付け方法

◆ダンボールなど箱型貨物を積み付けるときの注意点

①前後左右の隙間をなるべく小さくするように、前方から整然と緊密に積み付ける。
②トラックの鳥居(荷台前方にある壁)などを活用し、貨物が移動しにくい積み付けをする。
③天地無用等の荷扱い指示マークに従って積み付ける。
④貨物を積み重ねる場合は、その貨物の外部包装が上積みする貨物の重量に十分耐えれるものであることを確認する。
上積み貨物の重量により下の貨物が変形する場合は、貨物の中間にベニヤ板(コンパネ)などを挟んで重量の分散を図りましょう。

⑤ダンボールや木箱貨物を積み付けるときは、積み重ねる段ごとに配列パターンを変えるなど荷崩れしにくい積み方とすること。
⑥ダンボール同士の摩擦係数は、0.2~0.4であり、滑りやすくなっている。多段積みする場合は滑りにくい素材のシートや板を挟むと横滑りする抵抗力も増えて荷崩れしにくくなる。又、シートや板を挟むことで重量を分散でき、ダンボール箱の圧損や変形の減少にもつながる。
⑦ダンボールは、積み付け方法によって強度が低下する。ブロック積80%・ピンホール積み40%・交互列積み50%に低下する。

◆貨物を混載する場合の注意点

1.軽い貨物の上に重い重量の貨物を積み重ねない
2.小さい貨物の上に大きい貨物を積み重ねない

3.鋭い角や突出物には、あて物をして保護する

◆重量の大きい貨物を積み付ける時の注意点

①集中荷重、偏荷重になりがちなので、積み込みは重量配分に配慮すること。
②トラックの荷台の前後、左右の両者の中心位置が望ましい。
③形状や大きさが違う貨物を積み合せる場合は、積載重量や貨物の寸法によって前後や左右に隙間が生じるので、木材などを使って隙間を埋め走行中に貨物が移動したりズレたりしないよう対策すること
④コイルなど大口径管を積み込む場合は、貨物が転がって荷台から落ちないように歯止めしなければならない。
歯止めの高さは貨物の直径の1/10以上が望ましい。

荷崩れしないように貨物を積載するための資材や機械

◆積載するための資材や機材の特性や使用方法

トラックボード

ラッシングベルト

エアバッグ

防振パレット

①主に隙間を埋めるのに使用する資材や機材
エアバック、トラックボード、ダンボール、発砲スチロール、パレットなど
②おもに荷物を固定する資材や機材
ラッシングベルト、ワイヤーロープ、合繊ロープ、スチールベルトなど
③主に貨物どうしの干渉を防止する資材や機材
ダンボール、合板、トラックボード、プラボード、巻きダンなど
④主に貨物と固縛資機材との干渉を緩和するた資材や機材
角あて、当て布など
⑤パレット上の貨物の荷崩れを防止する資材や機材
ストレッチフィルム、防振パレット、スリップ止めシート、水平バンドなど

◆資材や機材の劣化は日常点検による確認が最も有効

■繰り返し使用による資材や機材の劣化のチックが必要

■資材や機材の劣化は大きな貨物事故や労働災害、交通事故の発生防止する為日常点検が最も有効

⑤荷崩れしない固縛の方法

◆安全な積込み、固縛の注意

①積込み、固縛は、必要な資材や機材を十分に活用し、絶対に手抜きしない。
②荷台上での積込み、固縛作業中は、常に荷崩れや不慮の事故に備えることともに、フォークリフト運転士の視野内で、かつ安全な姿勢で行うこと
③高所(地2mm以上)で作業をする時は、はしごや踏み台を用いて安全な位置、姿勢で作業を行うこと
④転がりやすい貨物には歯止めを用いること
⑤左右、前後に空間が生じる場合は、止め木等を用いて荷ズレ防止すること
⑥貨物の長さ5mm以上の場合は、少なくとも貨物の前後及び中間の3点を固縛すること
⑦機械等を積載した時は、固縛を施すほか、各種ブレーキロックなどについて十分に確認すること

◆走行中のロープやあて物等の緩みを防止するための注意点

走行中に固縛ロープやあて物が緩み、貨物事故を起こすことがあります。
これを防止する為には、運行途中で貨物や固縛のチェックを行う必要があります。

①荷崩れしやすい貨物は、出発後わずかな走行でロープが緩む場合があるので、安全な場所に一度停車して点検を行う
②一般道路では4時間走行ごとにには安全な場所に停車して固縛状態を点検する
③高速道路では2時間走行ごとには安全な場所(SA・PA)に車をとめて点検を行う

◆ロールボックスパレットの取り扱い

①ほぼ胸の高さで両手で前方に押して移動する

②荷台で引き出す時は、後ろ向きに引き出し旋回させて前方に押し出す

③前方に障害物、段差が無いか一時停止して確認する
④床面の傾斜、段差での転倒に注意する

⑤300kgを超える場合は、2人で取り扱う

⑥長い距離を移動し停止する場合は、2m手前から減速する

⑦輸送する場合は、重心に近い所をラッシングベルトで確実に固定する

テールゲートリフター基本事項

①リフターの最大荷重を超えない
②リフターの下に入らない
③水平の場所で作業する
④操作は離れて行い、リフターの上に乗って行わない
⑤荷台からリフターにボックスを移動する場合、リフターのストッパーが出ていることを確認する
⑥ボックスを接地面に移動する場合、段差に注意
⑦接地面に移動する際、ボックスをわずかに荷台側へ押し、ストッパーを足で解除し、ゆっくり引き出す

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2)トラックへの積込みと荷崩れ防止は終わります。
小テストに取り組み、次の項目を学びましょう!

長さ: 10 分

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