①トラックの形状と性能

<目 次>

1)トラックの構造
① トラックの形状と性能
② 車種区分とエンジンの種類
③ 車体構造と各部の名称
④ 車輪脱落事故
2)トレーラの特性に合わせた運転
⑤トラクタとトレーラ
⑥トレーラの点検整備
⑦トレーラの構造と運転
⑧トラックドライバーが知っておくべき法律
3)トラックの特性を理解した運転
⑨トラックの特性に合わせた運転
⑩死角・スピードと運転

初任ドライバー安全教育12項目の、
「3.トラックの構造上の特性」について学びます。
この項目は、
1)トラックの構造
2)トレーラの特性に合わせた運転
3)トラックの特性を理解した運転に分かれています。

1)トラックの構造では、
①トラックの形状と特性
②車種区分とエンジンの種類
③車体構造と各部の名称
④車輪脱落事故の項目に分かれています。
この項目では、①トラックの形状と特性について学びましょう。

1)トラックの構造

①トラックの形状と性能

◆車両寸法

トラックに荷を積む際に、最も影響するのが荷台の内側の長さ、幅、高さです。これを「荷台内法」といいます。
荷を積む際には、車両のアルミなどの厚みを差し引いた寸法で容量を考えます。

◆トレッド(輪距):左右の車輪の間隔

トレッドが広いと安定性が高いく乗り心地がよいですが、小回りがききにくいという面があります。

◆ホイールベース(軸距):前輪と後輪の車軸の中心の距離

ホイールベースの数値が大きい(長い)と前後の安定に優れ、乗り心地が良く、直線安定性もあります。
反面、小回りがききにくく、運動性能が劣ります。また、旋回時に内側の車体がせり出す内輪差も大きくなります。

◆オーバーハング:前後の車軸より外側にはみ出している車体の部分の長さ

前部をフロントオーバーハング、後部をリア・オーバーハングといいます。
特に右左折時にトラックの後部が他の車と接触する危険があります。

◆最低地上高・床面地上高:最低地上高とは、車体の一番低い部分と路面との間の距離

床面地上高とは、荷台床面と路面との距離

最低地上高が低い場合は、段差の通過や悪路を走る時に腹付きを起こす危険があります。
床面地上高が低いと、より多くの貨物の積載が可能になりますが、最低地上高も低くなるため、腹付きなどの影響があります。

◆車両重量:車両自体の重量

燃料、冷却水、エンジンオイルなどの油脂類、バッテリーやウインドウォッシャーといった液類を規定量入れた状態で、車体の架装物(荷台や冷凍機や車載クレーンなどの機器類)も含めて、走行可能な状態にある車の重さのことです。乗員や積載物の重さは含みません。

◆車両総重量:車両重量に乗車定員と最大積載量を加えた重量

乗員の重さは、1人当たり55kg×定員数で計算します。

◆最大積載量:貨物として積載できる最大の重量

最大積載量は、車両総重量から車両重量と乗車定員の重量を引いた数字 で算出します。

◆車両総重量の上限

道路運送車両法の保安基準では、車両総重量が左図のように定められています(セミトレーラを除く)。
車両総重量は、運転免許の種類や、高速自動車国道での法定速度、通行できる道路の制約、税金など、様々な面に関係しています。

◆車両総重量

車両総重量=車両重量に乗車定員と最大積載量を加えた重量

◆軸重・輪荷重・隣接過重

軸重:軸重1本あたりにかかる重量(10t以下)
輪荷重:車輪1本あたりにかかる重量(5t以下)

隣接荷重:隣り合う車軸にかかる荷重の和

◆最小回転半径

最小回転半径とは、車両最外側のわだちの半径を言います。平坦な路面でハンドルをいっぱいに切ってゆっくり回った際に、一番外側のタイヤ(通常は前輪)の幅の中心が描く円周の半径で、道路運送車両の保安基準で、12m以下とされています。

◆傾斜時の安定性

安定性とは、安定した走行を確保できる性能をいい、道路運送車両の保安基準で、「空車状態で左右に35度傾けた場合でも転覆しない」安定性の基準が定められています。

◆登坂能力

登坂能力とは、どのくらいのきつい傾斜を登ることができるかという目安です。登坂能力は重量が重いほど低下します。そのため空車時と積載時では登坂能力が違います。なお、高速道路の上り坂では、重量が重くスピードが低下しやすいトラックのために登坂車線が設けられています。

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①トラックの形状と特性については、以上になります。
それでは、次の項目を学んでいきましょう!

長さ: 10 分

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