AGV導入事例

AGVとは

AGVとは
英語ではAutomatic Guided Vehicle、日本語では無人搬送車のことを指す。
設備不要で指定したルートを自動で搬送する。
規模に合わせて柔軟な運用が可能で、近年物流現場への導入が増えてきている。

メリット
近年は人手不足により、ますます生産性の向上が求められている。
AGVの活用で「人が歩いて運ぶ」という工程を自動化し、生産性の高い労働環境を構築することができる。

導入の背景

①単純作業を自動化して人員配置を最適化したい

台車の搬送距離が長く、階層移動もある現場が存在し、搬送作業の効率化が急務となっていた。この単純な搬送工程を機械に置き換えることで、より付加価値の高い作業に人員を割く。

②物流ロボットの導入実績を作りたい

将来的な人手不足を見据えると、物流ロボットで作業を置き換え、自動化や省力化を図ることが欠かせない。小規模かつ単純作業の置き換えから進めることでノウハウを蓄積する。

→単純な搬送作業であり、自動化の効果が見込まれる現場の台車搬送作業にAGV導入を検討することになった。

対象作業動線

拠点:濃飛西濃運輸上越支店
商材:飲食店の備品類(割りばし、ゴミ袋、消毒液など)
作業:2階倉庫出荷場から1階ターミナルまでの搬送

1.2階倉庫出荷場で台車に出荷商品を積載
2.100mある通路を抜けてエレベーター前まで台車を搬送
3.エレベーターに乗り込み1階に降りる
4.1階トラックターミナルの指定された場所に台車を置く
5.空き台車を回収し、2階倉庫出荷場まで搬送

作業は上記1~5の繰り返しである。

導入前の動線

AGV導入

AGVメーカー/台車メーカー/EV会社/システム会社の4社で1年半導入実験を繰り返し、以下の動線で本稼働へ

1.2階の倉庫出荷場にある商品を積載した台車とAGVを自動で連結
2.AGVが台車をけん引し、エレベーターまで搬送
3.エレベーターとAGVが自動で通信し、エレベーターを呼び出す
4.1階トラックターミナルの所定の場所まで搬送
5.空き台車を自動で連結し、2階倉庫出荷場へ搬送

上記1~5の繰り返しを完全無人で稼働
(人の作業は行先ボタンを制御BOXで操作し、台車をセットするのみ)

空き台車の搬送
AGVと台車の連結

導入後の動線

導入効果

導入結果

2階倉庫出荷場から1階トラックターミナルまでの搬送が長距離かつ頻繁に行われていたことで、作業者への負担が大きくなっていた。しかし、搬送作業がAGVに置き換わったことで、作業者は重たい台車を何度も運搬する作業から解放された。

導入効果

①搬送作業の自動化による歩行の削減
1日の搬送距離=約250m×50回=約12,500m
1日の搬送時間=約12,500m÷4km/h(歩行速度)=約3時間
1日約12km3時間分の歩行を削減

②物流ロボット導入ノウハウの習得
AGVメーカー/台車メーカー/EVメーカー/システム会社の各社と繰り返し打ち合わせを重ね、以下の問題を解決。
・AGVと台車の連結方法→6輪の専用台車の開発
・AGVとEVの連携→AGVモードでEVと通信し、自動で昇降
その他、AGVの動線の試行錯誤や、作業員へのの周知を徹底するなど1年半かけ、本稼働に繋げたことで、導入ノウハウを習得した。

総括

成功要因

・人とAGVの作業動線の分離接続治具
・専用の制御BOXの作成や、けん引物とAGVの接続治具の作りこみ
→メーカー側と使用を想定した運用方法の共有
・使用マニュアルとエラー発生時の対応の周知

今後の展開

上越支店での導入ノウハウを活かし、富加物流センターに2台のAGVを導入した。上越支店では本稼働に1年半ほどかかったが、富加物流センターでの導入は、半年ほどで稼働させることができた。また、既存台車の構造にAGVを合わせることによって、導入コストを抑えることができた。

今後も導入実績を積み重ね、物流現場の自動化/省力化を推進し、様々な物流リスクに対応できる体制を目指していく。

AGV導入のポイント

1.制御システムの構築
2.作業動線の決め方
3.作業者へ操作方法の周知

どんな機材の導入であっても、人が行っている既存作業がそのまま置き換わるわけではない。システムの構築や作業動線を綿密に検討する必要がある。
また、機材を現場に浸透させるために、機材が対応可能な作業ベースでの現場構築や作業マニュアル・異常時の対応を周知し、現場にいる作業者だけで機材を使いこなせるような環境を整えることが重要になる。

長さ: 10 分

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浅野且久

省力化のメリットがあることがわかった。

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浅野且久

省力化のメリットがあることがわかった。