⑩死角・スピードと運転

今回は、3)トラックの特性を理解した運転の⑩死角・スピードと運転について学びましょう。

死角・スピードと運転

トラックの死角

◆左側や左後方の死角

■左側や左後方はミラーに映らない死角がある。

左側の死角が、左折時の巻き込み事故の一因になっています。
図の様に、歩道を通行する自転車は死角に入りやすく見落としがちになります。
そのため左折時に左側から横断しようとする自転車との死亡事故が多発しています。

■ミラーには死角があることをしっかり認識し、左折時は徐行して左右の安全確認を確実に行うこと。

◆安全窓を塞がない

■運転席左側下部の側方確認窓(安全窓)は、左側方の死角を無くすために設けられているものであり、塞いでしまうと左側方の歩行者や自転車などを見落として事故につながってしまう。

■安全窓の付近に段ボールなどの物を置いて窓を塞いではならない。また、カーテンやフィルムで窓を覆うことは法令の禁止行為に当たる。

バン型は後方が死角となる

◆バック時は、いったん下車して安全確認

■トラックの後方はほとんど死角になる。

そのため、バック時に事故が起こりやすくなります。

■バックする時は、いったん下車して後方の安全を確認するか、誘導してもらうこと!

◆バックアイカメラを過信しない

■バックアイカメラは後方の状況を映し出すため、死角を大きく減少させる効果がある。

■バックアイカメラにも限界がある。

過信せず、慎重にバックすること!

スピードと運転

⑤スピードが運転に与える影響

◆衝撃が大きくなる

衝撃力はスピードの2乗に比例して大きくなります。

■スピードが3倍になると、衝撃力は 
 3×3=9倍になる。

■トラックは車両が重いため、衝撃力は一層大きくなり、スピードの出し過ぎは死亡事故などの重大事故につながりやすい!

◆遠心力が大きくなる

カーブで急ハンドルを切った時、車両を外側に引っ張る力が遠心力です。

■遠心力は、衝撃力と同じようにスピードの2乗に比例する。

■重量の重いトラックには遠心力が強く働き、積み荷の重心が高い場合には、カーブで横転する危険がある。

◆制動距離が長くなる

制動距離は、スピードのおおむね2乗に比例して長くなります。スピードを出せば出すほど、停止距離は長くなり、追突事故などの原因になります。

●空走距離(危険を感じてからブレーキを踏み、実際に聞き始めるまで)
●制動距離(ブレーキが効き始めてから車が停止するまで)
●停止距離(空走距離と制動距離を合わせたもの)

◆1秒間の走行距離も長くなる

スピードを出せば出すほど1秒間の走行距離は長くなります。60km/hでは17m、100km/hでは28m進みます。

■走行中に伝票を見るとか携帯電話を操作するなど、ほんの数秒の脇見による前方不注視が事故につながる。

◆雨天時の高速走行は危険

雨天時に高速走行すると、タイヤが水の膜の上を滑走し、ハンドルもブレーキも効かなくなる「ハイドロプレーニング現象」が発生する。

スピードをコントロールする

◆状況に応じた安全速度で走行

■スピードコントロール=法定速度遵守と車間距離

【車間距離の目安】

★60km/h超・・・走行速度と同じ距離

★60km/h以下・・・走行速度から15を引いた距離

◆カーブでの注意事項

■スローイン・ファーストアウトが基本
スローイン「カーブ手前5mまでには減速」でカーブへ、その後、アクセルワークとステアリング操作でファーストアウト「加速しながら抜ける」する。が原則です。カーブの手前で十分に減速しましょう。

◆下り坂・上り坂での注意点

下り坂・・・フェード現象に注意

■フットブレーキに頼らず、エンジンブレーキや排気ブレーキの活用

上り坂・・・トルク走行(低回転で最大トルクが出るという特徴)

■速度が低下してもスムーズな走行ができるため、高速道路で後続車が接近している時は、登坂車線を走行して進路を譲ること

YouTube動画版はこちら↓

この章はここまで。小テストに取り組み、次の項目を学びましょう!

長さ: 10 分

戻る: 初任ドライバー安全教育 > 3.トラック構造上の特性