⑧トレーラ特有の現象
今回は、2)トレーラの特性に合わせた運転の⑧トレーラ特有の現象について学びましょう。
トレーラ特有の現象
①ジャックナイフ現象
トレーラは連結車両のため、急ブレーキなどでトラクタ部分とトレーラ部分のバランスが崩れて「くの字」に折れ曲がることがあります。この現象をジャックナイフ現象と呼び、原因として、
①急ブレーキ、急ハンドルなど「急」のつく運転
②過積載運転
③ブレーキとハンドルの同時操作
④2段飛びなどの急激なシフトダウンが挙げられます。
特にカーブや下り坂を走行する時や、路面が濡れていたり、積雪している場合などは、ハンドル操作やブレーキを慎重に行う必要があります。
②-1トレーラ・スイング
トレーラ後部が、カーブの外側に流れる現象
■制動時、トレーラ後輪がロックした場合に起こりやすい。
②-2プラウアウト現象
トレーラ側が制御を失い、トレーラとトラクタ全体がカーブを直線状に外れる現象
■兆候を感じた時はブレーキを解除しハンドル操作で修正。
③左折時に側方の死角が大きくなる
■左折前は見えていたミラーで見えていたバイクも見えなくなる。そのためミラーに頼り切っていると、歩行者等を見落として発見が遅れる。
●目視も含めて安全確認が大事●
★状況が良い時に近寄ってくる交通参加者を見落とさないこと!
④右折時に対向車との接触に注意する
■右折する時は、右ミラーに写る後方の範囲が狭くなり(左も同様)、右後方の死角が大きくなるため徐行して一層慎重な安全確認を行わなければならない。
★内輪差を考え、交差点をやや大回りすることを心がけること!
⑤追越し、追越され及び車線(進路)変更
■前車を追越す時は長い距離が必要。
前後に十分余裕がある時でなければならない。
■追越される時は、自車の速度を上げないこと。
■車線(進路)変更を行う時は、早めに合図し後続車が気づいたと思われるまで待って進路変更すること。
⑥カーブ時に対向車線にはみ出すことに注意
※左カーブ:トレーラの前部はトラクタより外側に張り出す。
※右カーブ:トレーラの内輪差により後輪が道路内側に寄る。
⑦バック時の注意
■セミ・トレーラ、フル・トレーラ共に、バック運転時は後方や側方に目視やミラーで確認できない死角ができる。
■バックを開始する前は必ず一時停止してバックする方向・場所の安全確認すること。
⑧腹付き現象
低床トレーラやホイールベースの長いトレーラは、凸凹のある路面や道路(短い橋や踏切等)を走行する際に、路面とシャーシが接触する可能性があります。
■速度を落としてハンドルをしっかりと保持することが重要!
⑨1 積載時
■積載時は、制動距離が長くなるので早めのブレーキが必要。
■積載時と空車時では軸重配分が大きく変わるので習熟が必要。
⑨-2 空車時
■空車時は、積載時と同じ感覚で踏み込むと急ブレーキにつながる。
■トラクタ単体で走行する場合は、さらに軸重配分が異なるため運転操作に注意が必要。
⑩ブレーキの方法
停止する時は、通常フットブレーキを利用するが、長い下り坂やより強い減速が必要な時は、トラクター側だけ作動する排気ブレーキやエンジンブレーキ、トレーラだけに作動するトレーラ・ブレーキも利用します。
■トレーラ・ブレーキは、トレーラからの突き上げや折れ曲がり防止に有効であるが、滑りやすい路面ではトレーラ・スイング現象を起こすこともある。
単独使用を避け、排気ブレーキやエンジンブレーキ、リターダーの補助ブレーキを併用して減速すること。
⑪急勾配路の通過
平坦路から急勾配の登り坂になる時、或いは下り坂から平坦路になる時は、トラクターとトレーラがぶつかることがあるので注意が必要しましょう。
(倉庫に入る・歩道に大きな段差・工事現場・フェリーに乗船も同様)
■車両のバランスが悪くなるので、ハンドル操作を普段より慎重に行うこと。
⑫トレーラの通行区分と標識
■高速自動車国道では、大型トレーラ(車の総重量が750kgを超える車をけん引しているけん引自動車)は原則として第一通行帯を通行しなければなりません。
ただし標識があるところでは標識に従うこと。
■自動車専用道路においては、通行区分の標識(指定区間)があるところでは、標識に従うこと。
トレーラの特性に合わせた運転
◆その他留意点
①トレーラは2つの車両を連結しているため、運転席に荷台の挙動が伝わりにくい
②国際海上コンテナでは、内容物の積載状況や重心位置が分からない
③タンクトレーラのように、液体などを輸送する場合、車両のバランスが失われる
④鉄板等の重量物を運ぶ場合、急ブレーキで運転席を直撃する。
⑤複数場所で荷卸しする場合は、軸重が許容限度を超えてしまう。
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この章はここまで。小テストに取り組み、次の項目を学びましょう!