②自動車の運転に係る法令
今回は、1)トラック運行に係る法令のⅡ自動車の運転に係る法令について学びましょう。
Ⅱ自動車の運転に係わる法令
①道路交通法
道路交通法の構成道路交通法の構成
道路交通法とは、「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的する。」とあります。
警察庁が所轄する法律で、歩行者や自動車が安全に道路を通行できる方法を定めた法律です。
自動車については、走行する自動車の種類、免許制度や罰金について、又自動車を運転する上で、運転者が守らなければならない事柄も定めています。
●自動車の種類(大型・中型・準中型・普通・大型特殊・大型二・普通二・小型特殊)
●車両及び路面電車の通行方法
●踏切の通過
●右左折
●徐行
●駐停車の禁止
●駐車禁止
●乗車の方法
●積載の方法
●積載の制限
●積載制限外許可
●過積載車両に対する措置命令
●過積載車両に係る指示
●過積載運転の要求等の禁止
●整備不良車両の運転の禁止
●無免許運転の禁止
●酒気帯び運転等の禁止
●過労運転等の禁止
●共同危険行為等の禁止
●安全運転の義務
●運転者の遵守事項
●交通事故の場合の措置
●使用者の義務
●違反行為の下命・容認の禁止
●高速自動車国道等における自動車の交通方法等の特例
●運転免許(10種類)
◆道路交通法の罰則(動的違反)
交通違反を犯した者は、通常だと、刑事罰として手続きが進められて裁判で罰せられることになります。このときに請求されるのが罰金です。しかし、違反点数が6点以下の軽微な違反であれば、手続きが簡略化されて罰が軽減されます。この制度を交通反則通告制度といいます。そして交通反則通告制度が適用される際に請求されるものが、反則金です。
反則金と罰金の両方が定められている場合、反則金を納付すれば、罰金を支払う必要はなくなります。反則金の支払いに応じない場合には、刑事手続きが進められ、最終的に有罪となれば罰金刑が科せられます。なお、反則金よりも罰金の方が高額であり、懲役刑が選択される可能性も否定できません。
◆道路交通法の罰則
2020年に最も大きく減ったのは携帯電話の使用違反です。
約72万件から約31万件へ、約41万件、56.9%も減少しました。2019年12月1日、「ながらスマホ運転の厳罰化」が実施され、反則金が大幅値上げされました。普通車だと6000円から1万8000円へ、3倍の大幅な値上げとなりました。
何度も報道されたこともあり、軽い気持ちで「ながらスマホ」をしていた人たちの減少につながったと思われます。
警察庁ウェブサイトによると、2016年から2020年の過去5年間で、自動車と歩行者が衝突した交通死亡事故は5451件発生しており、そのうち約7割の3900件が横断中の歩行者との事故です。
横断歩行者等妨害等違反の取り締まり状況(件数)は、2016年の11万1142件に比べて、2018年には18万1290件、2019年には22万9395件、2020年には29万532件と、この5年間で件数は約3倍に増えています。
②労働基準法
労働基準法とは、労働者の「人たるに値する生活」を確保するための法律です。使用者と労働者の労働契約、解雇・退職の方法、賃金の支払い、労働時間、休憩や休日の取り方、災害補償等について規定された法律です。
●使用者と労働者
●使用者の義務
●労働契約
●解雇・退職
●賃金
●休業手当
●労働時間
●休憩
●休日
●時間外及び休日の労働
●年次有給休暇
●年少者
●妊産婦等
●災害補償
●就業規則
◆労災事故とは
労働者の負傷や疾病、傷害、死亡のこと
◆労災事故では
荷役作業中の災害が多く発生しています。
トラック運送事業における事故の種類別死傷災害H31/令和元年(厚生労働省資料より)
◆労働災害の特徴と防止策
《労災事故事例》
(1)墜落・転落災害
(荷台から自身の意図で意図的)
厚生労働省資料より
《労災事故事例》
(2)荷役運搬機械(フォークリフト)
(3)荷役用具(ロールボックスパレット)
(4)動作の反動や無理な動作(半数が腰痛)
◆荷卸し作業時の注意点
①荷の上では移動しない
②ラッピング、ラベル貼りは、地上でする
③保護帽を正しく着用する
④フォークリフトの運転者から見える安全な立ち位置を確保する
⑤荷や荷台の上では、荷台端付近で背を外側に向けない
⑥安全靴を使用する
⑦トラック荷台への昇降は、昇降設備を使用する
③労働安全衛生法
労働安全衛生法とは、職場の安全と健康を確保し、快適な職場環境をつくるための法律です。
労働災害を防ぐために危険なものについては基準を作成し、責任体制を明確にして、事業者や労働者が自主的に安全・健康・快適な職場環境を作れるように促進することを定めた法律となります。
労働衛生委員会、フォークリフトの運転資格、定期健康診断やストレスチェックに関する事項も、この法律で定められています。
■事業者と労働者の責務
●事業者は、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければなりません。
●労働者は、労働災害を防止するための必要な事項を守るほか、労働災害の防止に関する措置に強力するように努めなければなりません。
●安全管理者は、常時使用する労働者が50人以上の場合選任しなければなりません。
●衛星管理者は、常時使用する労働者が50人以上の場合選任しなければなりません。
※安全管理者と衛生管理者に選任されるためには、国で規定する資格が必要です。
●統括安全衛生管理者は、常時使用する労働者が100人以上の場合選任しなければなりません。
●安全衛生推進者は、常時使用する労働者が10人以上50人未満の場合選任
●産業医は、常時使用する労働者が50人以上の場合(500人以上は事業場に専属が必要)
●作業主任者(はい作業主任者など)は、高さ2m以上のはい付け、はいくずし作業の場合は、はい作業主任者を選任しなければなりません。
※作業主任に選任されるためには、国で規定する資格が必要
「はい」 とは、倉庫や建設現場に積み重ねた段ボールや袋物の荷が集まった状態のこと。「はい付け」は荷物を積み上げること、「はいくずし」は積み上げられた荷物を崩すこと。
◆フォークリフトの取り扱い
①労働安全衛生法に基づく、運転技能講習を修了した者
②職業能力開発促進法である普通職業訓練の内、揚重運搬機械運転系港湾荷役科の訓練を終了した者で、フォークリフトについて訓練を受けた者
③その他厚生労働大臣が定める者
フォークリフトの取り扱いは、前方視界が悪い時は、バック走行若しくは誘導してもらいましょう。
また、登り坂では前進走行、下り坂ではバックで走行しましょう!
●走行は、保安基準適合
●荷物を積載して走行禁止
●公道での荷役作業禁止
メンタルヘルス
常時50人以上を使用する事業者は、
1年以内ごとに1回、
定期にストレスチェックを行わなければならない。
④働き方改革関連法
働き方関連法により、労働基準法や労働安全衛生法などの法律が改正され、「働き方」が変わります。
■年5日の年次有給休暇付与の義務付け
2019年4月から、使用者が労働者の希望を踏まえて時季を指定し、年5日の付与が義務化されています。
■労働時間の客観的な把握
2019年4月から、管理監督者も含め、すべての人の労働時間の状況が、客観的な方法その他の適切な方法で把握されるよう法律で義務付けられています。
■フレックスタイム制の充実
割増賃金は、1ヵ月単位で清算されていましたが、2019年4月から、3ヵ月単位で清算できます。
法定労働時間に対して、例えば6月が残業20時間、7月が0時間、8月がマイナス20時間だった場合、8月は欠勤扱いになっていましたが、これからは6月に働いた時間分があるので、8月は欠勤扱いになりません。
■正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の禁止
2020年4月から、同一企業内において、正規雇用労働者と非正規雇用労働者、派遣労働者の間で、基本給や賞与などの個々の待遇ごとに不合理な待遇差が禁止されています。
■月60時間超の残業の割増賃金率の引上げ
2023年4月から中小企業の割増賃金率が25%から50%に引き上げられます。大企業は既に割増賃金率は50%となっています。
■労働時間法制の見直しについて
運送業の残業時間の上限はありませんでしたが、2024年4月から、自動車の運転業務に従事する労働者の残業時間の上限は、960時間までとなります。
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以上で Ⅱ自動車の運転に係る法令 は、修了です。
小テストに取り組み、次のⅢ車両管理に係る法令に学びましょう!