②健康管理のポイント

この項目では、 2)健康管理のポイントについて学びましょう。

2)健康管理のポイント

①身体面の健康管理病気の早期発見の重要性

■病気の早期発見の重要性

どんな病気も早期発見、早期治療できれば、症状の悪化を防ぐことができます。また、回復も早く、軽症で済むことが多いと言われています。

■定期健康診断の受診

健康診断の目的は、発病などの状態をいち早く見つけることです。多くの病気は、定期的に健康診断を受けて早期に発見すれば、予防したり悪化を防いだりすることができます。
ドライバーは、年に1回(深夜業務の場合は年2回)健康診断の受診が義務付けられています。必ず定期健康診断を受けて自分の健康状態を正しく知ることが大切です。

■健康診断結果には必ず目を通す

健康診断の結果が出たら、検査値が基準の範囲内か、過去数年の結果と比べて変化してないか確認しましょう。
血糖値の上昇や体重増などがあれば、生活習慣を見直しましょう。

■健康診断で「要精密検査」等の異常が見つかったら

健康診断で、「要精密検査」や「要再検査」と判定されたら、そのまま放置せずに必ず医療機関で検査を受けましょう。
特に、「要治療」と指摘された時は、治療を受ける必要があります。また、病気の種類や内容によっては、乗務の際の注意や乗務の可否等について医師の意見が必要となります。
※自主的に医師の診断・治療を受けている時は、その内容を運行管理者などに報告する必要があります。

■血圧管理は健康管理の基本

高血圧は、動脈硬化や心臓疾患など生活習慣病を引き起こす元凶といえるものです。
特に脳卒中については、高血圧の人は正常な人に比べて5倍以上の危険性があると言われています。
運転中は血圧が上昇し、ヒヤリ・ハットを経験すると更に上昇します。
※ドライバーの健康管理にとって、血圧の管理は最も基本的かつ重要なことです。

■高血圧の予防

血圧の変化をつかむ為に、1日2回(朝・晩)血圧を測り管理しましょう。
・血圧を下げるには、ウオーキングなどの有酸素運動が効果的です。毎日30分、1日1万歩を目指しましょう。
・塩分を控えめにして血圧をコントロールしましょう。

■肥満

肥満は、高血圧症や糖尿病、心臓病のほか肝脂肪や胆石、痛風や腰痛、関節炎など他の病気を引き起こします。肥満度の計算法には、BMI(体格指数)を用います。
理想体重は、BMI22で、BMI25以上は肥満と言えます。
BMIの計算方法:体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
【予防対策】
◎肥満の原因は食事(回数・内容・時間)と運動不足です。
3度の食事はきちんと取る。
間食(お菓子・パン)、清涼飲料水はできるだけ控える。
22時以降の食事でのアルコール、ご飯、麺類の飲みすぎ食べ過ぎは太りやすく、翌日の朝食欠食につながります。

■糖尿病

多くの糖尿病は、肥満により血糖値を調整するホルモンの働きが低下して、血糖値が上昇することで発症します。放置すると(眼、腎臓、神経障害)の合併症を起こし、命取りになる危険性もあります。
【予防対策】
食事と運動で肥満防止に努める。
・甘味
・食塩を控え、野菜や植物繊維、海藻類をとり、動物性脂肪は控えめにする。

■脂質異常症(高脂血症)

脂質異常症は、血液中のコレストロールや中性脂肪が高くなり過ぎた状態のことです。※コレストロールには、善玉悪玉があり、悪玉が多いと動脈硬化を起こします。※中性脂肪が多すぎると皮下脂肪や内臓脂肪、脂肪肝、糖尿病、動脈硬化の原因となります。
【予防対策】
動物性脂肪やアルコール、お菓子は中性脂肪と悪玉コレストロールを増やし、善玉コレストロールを減少させるので控えめにする。
食物繊維や豆腐は脂肪の排出を促すので積極的に摂取する。
適度な運動は、善玉コレストロールを増やす効果がある。
喫煙は、動脈硬化を進行させるので禁煙する。

■脳卒中

脳卒中は、脳血管の障害によって発症する病気で、脳出血やクモ膜下出血、脳梗塞などを指します。運転中の健康に起因する死亡事故の中で、脳卒中や心筋梗塞が3分の2を占めています。
【予防対策】
高血圧や肥満、糖尿病は脳卒中の引き金になり、脂質異常症が続くと動脈硬化が進み、脳卒中の原因になる。それらを予防することが、脳卒中の予防につながる。
・ストレスや過労、喫煙、寒さなども危険因子となるので注意すること。

■心臓病(心筋梗塞、狭心症)

心筋梗塞や狭心症は、突然死や過労死の原因でもあるように、発病すると命を脅かします。
【予防対策】
・動脈硬化は、脂質異常症や高血圧、喫煙、肥満、糖尿病、ストレス、過労などから起こり、3つ以上当てはまれば要注意!
・動悸や息切れ、胸の痛みは、心臓病の前触れです!早急に医師の診断を受けること
・適度な運動で、ストレスを解消し、常に気分をリフレッシュさせること

■生活習慣へのアドバイス

ドライバーの生活習慣は、不規則な生活やバランスを欠いた食事、飲酒、喫煙、運動不足、慢性的な睡眠不足が背景にあると考えられます。
★運動、休日にウォーキングを空いた時間を利用してできるだけ歩きましょう。
★寝る前のストレッチは、腰痛予防と安眠も期待できます。
★食事は、バランスのとれた食事を心がけましょう。
★アルコールは、1日に日本酒1合(アルコール20g)は、「百薬の長」とされますが、3合以上の常時飲酒は多くの病気を誘発します。
★煙草は、血圧を収縮させて、血圧を上昇させます。ガンのリスクも急増します。安全運転にも影響しますので、できれば禁煙しましょう。
★睡眠は、毎日6~7時間の連続した睡眠をとりましょう。
★カフェインやパソコン・スマートフォンの使用は、できるだけ避けましょう。

■心の健康を保つには

ストレスなどから心の健康が乱れると、イライラや不安、首や肩こり、作業効率の低下など、心理面や身体面、行動に様々な変化をもたらします。
心の健康を保つには、自分自身に過剰なストレスがかかっていることに早く気づき、自分に合ったストレスの対処方法を見つけることです。

■心の健康を保つには

●しっかり睡眠をとる
睡眠は、疲労回復、ストレス解消に効果的です。
●適度な運動をする
適度な運動は、満足感や解放感、リフレッシュ効果が得られます。
●不安などを話す
親しい人に話を聞いてもらうだけでも気持ちはスッキリします。良いアドバイスを得られることもあります。

■心の健康を保つには

●仕事に関係のない趣味を持つ
仕事に関係のない趣味を持つことは、気分転換になり、ストレス解消につながります。
●笑う
笑いには、自律神経のバランスを整えるなど、健康上様々な効果が知られています。日常生活の中に笑いを取り入れましょう。
●緊張を持続させない
緊張が続いていると感じたら、深呼吸したりトイレに立つなどで小休止をとり、気分転換を図りましょう。

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2)健康管理のポイントは終わります。

それでは、次の項目を学びましょう!

長さ: 10 分

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