②運転支援装置の性能及び留意点
この項目では、1)運転支援装置に係る事故の事例について学びましょう!
2)運転支援装置の性能及び留意点
◆安全性の向上を図るための装置
安全性の向上を図るための装置とは、先進技術を利用してドライバーの安全運転を支援する装置を言います。車にセンサーやコンピュータ、通信機能を備え、安全かつ快適な走行を実現させ、事故の削減を図ることを目的としています。安全性の向上を図る装置には、衝突時の被害を軽減する装置や、適性な車間距離を維持する装置など様々なものがあります。
実現された主な物は、衝突被害軽減ブレーキ、定速走行・車間距離制御装置、ふらつき注意喚起装置、車線維持支援制御装置、車線逸脱警報装置、車両安定性制御装置があります。
①衝突被害軽減ブレーキ
衝突被害軽減ブレーキは、カメラやレーダーにより先行車との距離を常に検出し、危険な状況にあるかどうかを監視します。前方の自動車や歩行者を検知し、追突の危険性が高まると、まずは音や警告灯などで警告し、ドライバーにブレーキ操作を促します。それでもブレーキ操作がなく、このままでは追突や衝突の可能性が高いとシステムが判断した場合、自動的にブレーキが作動し、衝突被害の軽減を図る装置です。この衝突被害軽減ブレーキは、システムのみで衝突を回避したり、安全に停止するものではありません。また、レーダーセンサーに汚れが付着している際にはシステムが正しく作動しないおそれがあります。
②定速走行・車間距離制御装置
定速走行・車間距離制御装置(オート・クルーズ・コントロール/ACC)は、高速道路や自動車専用道路で使用することを前提に開発されたもので、その名の通り、車間距離を一定に保ちつつ、定速走行を車が自動で行う装置です。以前は、クルーズ・コントロール(CC)が主流でした。CCを使うと、車はドライバーが設定した車速で走行してくれます。
しかし車間距離を一定に保つためにはドライバーがブレーキ操作を行う必要がありました。CCの発展形であるACCでは、車間距離を一定に保つためのセンサーとCPU(コンピューター)が車に搭載されています。これによって、前を走る車との車間距離を一定に保ちながら走る「追従走行」が可能になりました。
ACCは、アクセル操作だけではなく、ブレーキ操作も車が自動で行ってくれるようになり、運転操作が軽減されることや、先行車との車間距離が維持される安心感から、居眠り運転や装置を過信して前方不注視となる可能性があります。これらは事故の要因となる場合があるので、注意が必要です。
③ふらつき注意喚起装置
ドライバーの低覚醒状態(覚醒とは、脳の目覚めの程度のこと。一般的に覚醒が下がるとぼん やりした状態になり、上がると興奮した状態になる)に起因するふらつきを検知してドライバーに注意喚起する装置です。ふらつき注意喚起装置は、居眠り運転や脇見運転を可能にする装置ではありません。
④車線逸脱警報装置
車線逸脱抑制装置とは、車内に設置されたカメラ画像をもとに走行車線を認識し、方向指示器を操作されないまま車線を逸脱しそうになると、警報音を鳴らしてドライバーに知らせる機能です。これによって、路外逸脱によってガードレールや建物などに衝突する事故や、センターラインを越えて自動車などに正面衝突するような事故を防ぐことができます。ただし、駐車車両を避けるためにセンターラインを越えるようなケースなど、ドライバーがハンドルやウインカーを操作して意図的な車線変更を行う場合、この装置は作動しません。
⑤車線維持支援制御装置
車線逸脱防止支援からさらに進んで、車線維持支援機能を備える車も増加しています。カメラにより白線(黄線)を認識して車線の中央を走行するよう常時ステアリング制御を行います。高速道路のように白線が明確に認識でき、カーブ半径が大きい状況ではほぼ車線の中央を自動で走行し続けることができる。白線の認識ができない場合でも、前走車を認識して自動追従するようにステアリング制御を行う機能を持つものもあります。この装置は、ハンドル操作力の軽減でり、装置単体が車線維持のすべてを行うものではなく、ドライバーが適切なハンドル操作を行う必要があります。
⑥車両安定性制御装置
カーブなどを走行中、横滑りなど不安定な動きを抑制し、車両の姿勢を安定させるシステムのことです。走行中不安定な姿勢になった場合にも、車両安定性制御装置によって警報によりドライバーに知らせるとともに、エンジン出力やブレーキを制御し安全に走行することができます。車両横滑り時制御・駆動力制御装置とも呼ばれます。急ハンドルの走行を可能にする装置ではありませんから、装置を過信して運転をしてはなりません。
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以上で貨物自動車運送事業輸送安全規則法定12項目の座学は全て修了となります!
超一流プロドライバーに成長されることを願っています。