適性診断に基づいた指導の仕方【初任診断】
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診断結果の読み取り方
適性診断表の最初のページには、各測定結果が点数で表示されています。
70点以上は高く、40点未満は低い点と判断します。
特に40点未満の項目を重点的に助言・指導します。
初任診断指導票による指導
初任診断を受けた方には、その結果に基づいて指導をする必要があります。
その際に使用するものが「初任診断結果指導票」です。
ドミノの掲示板から安全推進部へ移動し、「乗務員への特別な指導教育」のページでダウンロードできます。
こちらに指導内容を書き込んで、今後の指導に役立てましょう。
総合所見の欄に、運転傾向9項目について点数を書き込み、ポイントを確認し指導します。
9項目の内訳は、機能測定が5項目、性格特性が4項目です。
機能測定の5項目は、動作の正確さ、危険感受性、判断・動作のタイミング、安全態度、注意の配分です。
性格特性の4項目は、感情の安定性、協調性、気持ちのおおらかさ、他人への好意です。
機能測定:5項目
1)動作の正確さ
素早く正確な反応ができるか、また反応にムラはないかを診断します。
点数が低いと……
・慌てて間違った行動をとりやすい
・複雑な状況で頭が混乱しやすい
・とっさの正確な動作が不得手
・確認が疎かで、すぐに動作に移ってしまう
・他のことに注意が逸れ、ミスをしやすい
などの傾向が見られます。
助言・指導のポイント
・まず確認を行う行動をする
・無理をしない、いつもと違うことをするときは特に注意
・遅い反応の人:スピードを緩めに車間距離を十分にとる
・ムラの多い人:常に落ち着いた態度、行動を心がける
そのために運転時の緊張やイライラした状態をゆるめる
2)危険感受性
交通の状況をよく見ようとする積極的な姿勢と運転の慎重さを診断します。
点数が低いと……
・一点集中になりやすい
・見落しや見誤りが多くヒヤリハットを起こしがち
・漫然運転になりやすい
・先を急ぎがちでスピードを上げてしまう
などの傾向が見られます。
助言・指導のポイント
・スピードを抑え、何度も確認を行う
・状況をよく見て、先を急がない
・目の前だけではなく、なるべく先の交通状況を予測する
・防衛運転、確認運転、慎重運転を心がける
3)判断・動作のタイミング
動作が先走って見込みが甘いなど、尚早反応の傾向を診断します。
点数が低いと……
・動作が先走って、確認が不十分になりがち、いつも急いでいるような心の状態になる傾向があります。
・タイミングが早いと、だろう運転になりがちで、見込みが甘く、見込み違いが生じる傾向があるため、一呼吸おくことが対策としてあります。
・タイミングが遅いと、次に続く動作が間に合わなくなるため次の動作を慌ててしまい、結果確認漏れが多くなる傾向が見られます。
・タイミングのムラを指摘するコメントがある場合は、緊張しやすく衝動的な行動になりがちで、手順が乱れやすい傾向があります。
助言・指導のポイント
・タイミングが早い場合
行動する前に一呼吸をおく気持ちで、まず確認する
・タイミングが遅い場合
慌てて対応しなくてもいいように安全な状態を保つ
4)安全態度
運転を甘く考えていないか、自分の運転を過信していないかを診断します。
点数が低いと……
・荒っぽい、自分本位の運転になる傾向があります。
・スピードの出しすぎや、状況を甘く考え、軽率な行動をとる傾向もあります。
安全は交通ルールを正しく守ることで確保でき、自分も守ることができます。自分の技術を過信して運転を甘く考えないことが大切です。プロドライバーの役割と責任を考え、他車の模範となるよう行動することが必要です。
助言・指導のポイント
・アクセルペダル、ブレーキペダルを静かに優しく踏む
・歩行者や自転車の立場に立つ
・歩行者と十分な距離を取り、速度を落として通過する
・十分な車間距離を開ける
5)注意の配分
左右どちらかに注意の偏りが生じていないかを診断します。
点数が低いと……
道路上の状況変化を的確に把握することができません。
交差点は特に注意すべき場所が多くなっています。右折時は、対向車だけでなく、横断歩道にも注意を向ける。左折時は、進行方向だけでなく、自転車、二輪車の巻き込みに注意するよう指導が必要です。
また、歩行者に気を取られることで、他の車の動きから注意が逸れてしまいます。
とっさの時に動作を誤ってしまったり、慌てて動作がバラバラになったりします。
助言・指導のポイント
・ゆとりをもって、満遍なく先を見通して運転する
・無理をしない
・ストレスを解消し、肩の力を抜いて緊張を緩める
性格特性:4項目
1)感情の安定性
興奮的傾向、感情的傾向、意志の不安定な傾向を測ります。
点数が低いと……
感情がそのまま運転に反映される傾向が見られます。
・スピードを出す
・見過ごし、見誤り、確認漏れ
・挑発されやすい
・荒い運転、急ブレーキ、急ハンドル
・他車と張り合う運転などが見られます。
助言・指導のポイント
・割り込まれた時:独り言のように文句を声に出してみて、笑顔を作って気分を変える
・煽られた時:「後ろの車は急用があるのかな」と善意に解釈して道を譲る
・歌ったり、背筋を伸ばすなどの気分転換をする
2)協調性
自分中心か、他人と協力する力や共感性の傾向を測ります。
点数が低いと……
自分中心、協力しない、共感しない傾向が見られます。
・譲らない、強引な割り込み
・戦闘的・攻撃的な運転
・他車や通行人に迷惑をかけても平気
・相手のことを考えずにクラクションを鳴らす
などの行動に表れます。
助言・指導のポイント
・相手に道を譲る気持ちを持つ
・自分の立場に立ち、自分の行為が相手にどのように受け取られているかを考える
・進んで仕事に協力することを日ごろから心がける
・強引な割込みはしない
3)気持ちのおおらかさ
情緒が穏やかかどうかを測ります。
この項目は、感情の安定性、協調性の補助項目です。受検者がおおらかで穏やかか、気が小さく攻撃的かを図ります。
点数が低いと……
・せっかちな運転、意地を張った運転
・短気ですぐつっかかる
・小さなことに囚われ、注意が逸れる
といった傾向が見られます。
助言・指導のポイント
・心にゆとりを持つように心がける
・忍耐力を身につける
・緑を見る、遠くを見るなど
4)他人に対する好意
疑い深さ、他人への信頼や警戒心などを測ります。
この項目は、感情の安定性、協調性の補助項目です。
受検者が、疑い深いか、他人に批判的か、他罰的かなどを測ります。
点数が低いと……
・意地悪な運転
・不都合なことは全て他人のせいにする
・荒い・戦闘的な運転(ひがむ気持ち・劣等感のある場合)
などの行動に表れます。
助言・指導のポイント
・時には一歩引いて、自分勝手かなと考え直してみる
・人のせいにしない
・他人をもっと好意的に見るように努める
適性診断を活用した指導
ここまで見てきた9項目のポイントに沿って、どうすれば受験者の低い点を改善していくことができるか考え、初任診断結果指導票に具体的な指導や指示事項を記入しましょう。