ロジカルシンキングとは?
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「問題」と「課題」の関係
まず、「問題」と「課題」の関係について考えてみましょう。
そもそも「問題」とは何でしょうか?「課題」とは何でしょうか?
例えば、現在、上手くいかない状態や現象が発生したとします。この「上手くいっていない状態や現象」を漠然と『問題だ』と思っていることが多いのですが、今起きている出来事ばかりに意識を向け過ぎると、対処方法に振り回され、真の問題解決には繋がりません。
上手くいっていない状態・現象が、『なぜ、発生したのか?その原因は何か?』を過去にさかのぼり、探っていくことで「真の問題」がはっきりしてきます。このように、現在、起きている現象に対し、過去に意識を向け、「それはなぜ起きたのか?」、「なぜ?なぜ?」と、繰り返し考えることで真の問題が明確になります。
これを効果的に行う方法が、ロジックツリーの「Whyツリー」です。今回の課題は、この「Whyツリー」を使って、あなたの職場で起きている問題の原因を探ることです。
ポイントは表現方法で、真の問題や原因を表す言葉として『~ができていない』 『~をしていない』など否定的な表現を使うことです。
真の問題や原因が明確になったら、次は未来に意識を向けます。ここで、問題を「課題」に置き換えます。そして、課題をどのようにして解決するか、解決策を考えます。
「どのようにして?」を繰り返すことで、課題の解決策を探る方法が、ロジックツリーの「Howツリー」です。Howツリーのポイントは、『~をする』 『~を行う』など肯定的な表現を使うことです。
このように、問題や課題をタイムライン(時間軸)で考えて整理すると、理解しやすく、相手にも伝わりやすくなります。
タイムラインの「現在」「過去」「未来」を意識して思考を整理してみましょう。
普段、あなたは、タイムラインのどこに意識を向けることが多いですか?「過去」にばかり意識を向けている人は、原因や問題ばかりを追求したがる評論家になっているかもしれません。
「現在」に意識が向くことが多い人は、起きている出来事に振り回されてばかりかもしれません。「未来」ばかりに意識を向けている人は、本当の原因が何なのかが分からないまま、行き当たりばったりの的外れな行動を取ってしまうかもしれません。
両方のバランスが大切だということですね。
会議の中で話がまとまらず、何も決まらないで終わってしまうということはないですか?話が噛み合わないで、話が行ったり来たりしてイライラした経験はないですか?話している言葉をよく聞いてみると、その人がタイムライン上のどの部分に意識を向けて話しているかがわかります。
ある人は「~が出来ていない」と、過去の出来事や問題が起きた原因について話しています。(過去)
別の人は「~をしましょう」と、今後やるべきことや取り組むべき課題について話をしています。(未来)
また、ある人は「~をしている」と、現在起きている出来事や現象を話しています。 (現在)
会議の中で話が噛み合わない時は、それぞれが違ったタイムラインで話をしている場合が多いのです。
司会者は、参加者が同じ時間軸で話をするようにリードすると話が上手く噛み合います。例えば、現在に意識を向けて「今日の会議では、問題点について現状報告をしてもらいます」あるいは、過去に意識を向けて、「なぜ、上手くいっていないのか?その原因について話し合います」あるいは、未来に意識を向けて「問題が発生した原因に対して、今後どのようにして解決するかを話し合います」などの説明を加えるだけで、参加者の意識が同じ時間軸を向き、話し合いがスムーズになります。
ロジカルシンキング 論理的にモノゴトを考えよう!
問題と課題の関係をタイムライン(時間軸)で整理することを理解した上で「ロジカルシンキング」について学んでいきましょう。ロジカル・シンキング(論理的思考)とは、ものごとを論理的に組み立てる思考法のことです。論理的とは、筋道を立てて、証拠を明確にするということです。
ロジカルシンキングの3つのツール
ロジカルシンキングは、使う目的やテーマにより、大きく3つに分けることができます。1つ目は「ロジックツリー」、2つ目は「マトリックス」、3つ目は「プロセス」というツールです。
「ロジックツリー」とは、ロジカルシンキングの基本フレームで、モレなく、ダブりなく情報を整理・分析するときに使います。あるテーマについて、木の幹から枝、さらに小枝に分かれていくように、問題の原因や解決策を探るものです。
ロジックツリーは、扱うテーマによって、①Whyツリー、②Howツリー、③戦略ツリー、④課題ツリー、⑤コンセプトツリーなどの種類があります。
「マトリックス」とは、縦軸と横軸の二軸を決め、その組み合わせの中に、多くの要素を整理し、分析する方法で、今後の戦略を考えるときに使います。
マトリックスは、扱うテーマによって、①ターゲット・セグメンテーション(市場の細分化)、②ポジショ二ングマップ分析(市場での位置づけ)、③SWOT分析(強み・弱み・機会・脅威を探る)、戦略オプション・マトリックス、仮説マトリックスなどがあります。
「プロセス」とは、ある業務や仕事を、いくつかの流れ(プロセス)に分解し、そのプロセスごとのどこに問題があるか?どこを変えるべきか?を明確にするときに使います。
プロセスは、扱うテーマによって、①ビジネスシステム、②AIDMA(アイドマ)、③プロダクト・ライフサイクル(PLC)などがあります。
今回の研修では、ロジックツリーを使用します。
この章はここまで。課題に取り組みましょう!