③合意形成の手法(2)

動画はこちら↓

(2)合意を形成する(コンセンサス・スキル)

困った人々への対処法

困った状態(症状)ファシリテーションの例
エンドレステープ
話が長くて、いつ終わるか分からない
「ちょっと中断させてください。 他に意見のある方はいますか?」 「興味深い話ですが、今日は時間がないので手短にお願いします」
壊れたテープレコーダー
何度も同じ話をくり返して辟易させられる
「確認しますが、お話の要点は~ということで良かったですか?これで良ければ、その続きをお願いします」 「今のお話しされた以外の意見はありますか?なければ次の話題(次の人の意見)に移ってもいいですか?」
批評家
何に対しても批判的な 意見を述べる
「ご批判はもっともだと思います。 その件について、どうすればいいか建設的(前向き)なアイデアについて 話し合いましょう」
自称専門家
経験や肩書をひけらかし、 知ったかぶりをする
「〇〇さんにとっては、知っていて当たり前のことだと思いますが、そうではない人もいると思いますので、ぜひ意見や良いアドバイスをお願いできますか?まずは皆さんの意見を聞きましょう」
攻撃癖
攻撃的に意見を批判する、 個人的な事柄に攻撃を 加える
「今日の会議の目的(ゴール)は、 〇〇ですので、個人攻撃や批判は、 別の機会にしてもらえますか?」
おしゃべり
周囲の人と私語をして 議論の邪魔になる
(脇に立って) 「さあ、限られた時間ですので、 時間内で終われるようにみんなで議論に集中しましょう」
トンチンカン
的外れな発言をくり返し 議論のペースを乱す
「とてもいいポイントですね。 その件は後で話し合うとして、今、 議論しているこの件についてのご意見はありませんか?」
引っ込み思案
何も発言せずに議論を 黙って聞いている
「Aさん、次にご意見を聞きますので、 考えておいてくださいね」 「Aさん、この件について何か意見はありませんか?イエスかノーでも構いませんので教えてもらえますか?」

集団心理の落とし穴

同調行動

どんなに意志の強い人でも、多数を相手にたった一人で反論をするのは勇気がいるものです。そのため、つい考えを曲げて多数派の意見になびいてしまうことがあります。ところが、1人でも自分の意見に味方する人がいれば、このような行動が減ることが、心理学の実験で確かめられています。少数意見の人には味方が必要なのです。ファシリテーターが、その役割を担うことで、議論の質が上がっていくでしょう。

集団極化現象(リスキーシフト

「赤信号、みんなで渡れば 怖くない」という心理のことです。議論をしているうちに極端に危険なアイデアの方向に話しが移っていくときがあります。リスクが高い意見の方が、チャレンジ精神に溢れているように見えて、無謀な決定をしてしまうことがあります。同じメカニズムで安全な方に行く場合もあります。集団での議論は、極端な方向に向かう傾向があり注意が必要です。

集団浅慮(せんりょ)(グループシンク)

優れたリーダーのもと非常に有能な人たちを集め、チームワークよく議論を進めれば完璧な決定が出来ると思いがちだが、とんでもない決定をする場合があります。リーダーや周りから強い期待を受け、メンバーが自信過剰になり、冷静に判断するという、議論の基本をおろそかにしてしまい暴走してしまうこともあるのです。全社の期待を一心に集めた改革プロジェクトにもその危険があります。

この章はここまです。次の章に進みましょう!

長さ: 10 分

戻る: OJTリーダー育成(中級コース) > 第2回 ファシリテーションスキル