③上司によるケア(ラインによるケア)
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メンタルヘルスケアには、上司によるケア(ラインによるケア)が非常に大切です。管理監督者の安全配慮義務ということについて考えてみましょう。あきら君は、入社10年目になるベテランで、たかし君の先輩になります。
あきら君、最近、たかし君の様子がいつもと違うようなんだ。話を聞いてみて欲しいんだが?
かしこまりました。ここのところ、私もたかしくんの様子がいつもと違うなとは感じていました。早速話を聞いてみます。
たかし、最近、何かあったのか?ミスが目立つよ。顔色も悪いし、元気がないようにみえる。調子が悪いのなら、病院にいっておいで。悩みごとがあるなら、いつでも相談にのるよ。
あきら先輩、ありがとうございます。実は・・・・。
このように、管理監督者は、従業員の健康を守る義務も課されています。
「管理監督者」とは、労働基準法上では、「労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者」を指し、一般的には部長・課長等の上司の立場にある人間を指します。管理監督者には、使用者である事業主から労働者である従業員に対して、指揮・命令を行うための権限が委ねられています。一方では、使用者には、従業員の健康を守る義務も課されています。
上司はこの「安全配慮義務」を履行する立場にあります。
「安全配慮義務」とは、社員が安全で健康に働くことができるように配慮しなければならない会社の義務のことです。
上司は、安全配慮義務の履行者で、部下の状態を把握し、部下の健康を守ることが必要となります。
ラインによるケアでは、管理監督者が「いつもと違う」部下に早く気づくことが重要です。「いつもと違う」を知るには「いつも」を知らなくてはなりません。
「いつもと違う」部下に早く気づくためには、日頃から部下一人ひとりの行動パターンや人間関係に気を付け、ここにあげた部下の「勤怠」、「仕事」、「行動」の変化を見逃さないことが大切です。
部下の「いつもと違う」に気づいたら、声を掛け、部下の話を聞いてください。話を聞くときは「傾聴」することが大切です。
「傾聴」のポイントは、「個室などプライバシーに充分配慮すること」、「30分程度、じっくり時間をかけて聴くこと」、「話を聴く際は、相手の言うことに口を挟まないこと」がポイントです。まずは、相手に対して関心があり、相手の立場に立っていると表情や態度で示すことで、相手に話を聴いてもらっているという印象を持たせるようにしましょう。
アドバイスをするのは「話を聞いてから」にしましょう。
話を聴いてもらえただけで気持ちが楽になることもあります。
とは言え、本人の話から病気が疑われる場合や相談内容が自分では解決できないと考えられる場合には、産業医や精神科医など社内外の医師への相談を勧めましょう。
「管理監督者」に求められることは、部下の話を聞いて、産業医や精神科医などの専門職とのパイプ役を果たすことです。「病気かも」と疑われる場合には必ず「医療につなぐ」ことが大切です。
メンタルヘルス不調に対応する際に管理監督者が陥りやすい傾向として、大きく分けて「思い込み」、「抱え込み」、「傍観的」という3つがあります。
まずは、「思い込み」です。思い込みとは、やる気がない、甘えていると本人のメンタルの弱さが原因として片づけてしまうなど、独断的な立場で関与することをいいます。「こころの強い、弱い」とは無関係だということを抑えておきましょう。
2つ目は、「抱え込み」です。自分の部下のことだからと一生懸命なのはいいのですが、「言わないで」と頼まれたため、誰にも相談せず、上司も抱え込んでしまい悪化させてしまうことがあります。メンタルヘルスの不調は誰にでも起こりうるということを理解し、過剰に関与しすぎないことも大切です。
3つ目は「傍観的」です。本人が大丈夫といったからとそのまま放置したり、見て見ぬふりするなど全く関与しないのは問題です。必要なときは、産業医や専門医などの医療機関につなぐことが大切です。
メンタルヘルス不調への対応①
ここからは部下のメンタルヘルス不調への対応の具体例です。
みさとさんは、入社12年目で支店内の姉御的存在で、まゆさんの上司にあたる方です。
部下であるまゆさんの話を聞き、産業医に面談することをすすめましたが、まゆさんは「私の能力不足なので、産業医に相談しても、どうしようもありません」と聞き入れてくれません。どうすればいいでしょうか?
「あなたの代わりに私が相談に行ってくるよ」と本人に伝えた上で上司が産業医に相談し、アドバイスをもらうのがよいでしょう。決して「相談に行け」などと無理強いをしてはいけません。
メンタルヘルス不調への対応②
部下のまゆさんが、最近どうも調子が悪いようで元気がありません。しかし「どうしたの?」と声をかけても「何でもありません」と言ってなかなか話をしてくれません。
その時は1~2週間様子を見てから再度声を掛けてみましょう。それでも、話をしてくれなければ部下を信頼している人、例えば仲の良い同僚、友人、家族に対応をお願いしてみるのも良いでしょう。
管理監督者の部下に対する役割の大きなものとして、ストレス要因となる職場環境を把握し、必要に応じて改善することがあげられます。まずは、職場環境の問題点を把握し、できるところから改善に着手することが大切です。
職場環境を改善していくためには、仕事のすすめ方、作業環境、人間関係、安心できる職場のしくみなど、実際にそこで働く人々の意見を集めて多角的な視点が必要です。
以上でメンタルヘルスケア③(上司によるケア(ラインによるケア)、部下のメンタルヘルス不調への気づきと対応、職場環境改善)は修了します。次は、部下の職場復帰支援と個人情報保護、ストレスチェックについて学びましょう。
いつもと違うと、思ったら、声をかけをする
仲間の様子がおかしいと思ったら声を掛けてあげようと思いました
承知致しました。
参考になりました。
支援活動には、かなりのシミュレーションご必要だと思います。
大変参考になりました
ケアの「時間」の確保にも目を向けていかねばならないと思っています
大変参考になりました。
変化に気づいてやれる心の余裕が必要なのかなと。
アドバイス的なものは常に用意しておく必要があると思っています
結局は改善を続ける姿勢が大事なのだと
常に接していて、「変化」に気づくというのが、最も大事なことかと
対応策として参考になりました。
経験が必要な部類ですよね
メンタルヘルスは「気にかける」ことが大事で、他人にコントロール出来るものではない、ということを前提とするならば、指導するのはかなり難しい問題だと思います。
部下の精神的健康を守る義務?会社が自分の精神的健康を守ってくれないのに?笑
「思い込み」、これに尽きると思います。
密なコミュニケーション
広い視野を持って小さいことも
気づけるようにします。
良く分かりました。
大変勉強になりました。
勉強なります
今後メンタルヘルス担当者に相談したいです。
勉強になりました。
勉強になりました
分かりました